【映画の話】この夏の星を見る【ネタバレあり】
今回の映画はこちら!!
【この夏の星を見る】
出演:桜田ひより、水沢林太郎、中野有紗、早瀬憩、和田庵、蒼井旬、黒川想矢、星乃あんな、萩原護、
秋谷郁甫、河村花、増井湖々、安達木乃、岡部たかし、近藤芳正、上川周作、朝倉あき、堀田茜ほか
以下ネタバレあり
【ざっくりストーリー】
コロナ禍で青春を過ごした若者たちの話
【感想】
コロナ禍で全てが制約されて、出来ないことばかりの社会。
大人がコロナを様子見している間にも中高生たちの短い青春はどんどん削られていく。
序盤から中盤にかけては、未知の病気への恐怖を抱える社会と、コロナのニュースが随所に挿入され、
「全てを制約され続けた若者たち」の燻った不安満載の青春が描かれています。
茨城・東京・長崎にいる、本来なら交わることのなかった中高生たちの群像劇。
天文部に入部してそれぞれに夢を語る茨城の高校生・亜紗と凛久。
コロナによって溝が出来てしまった長崎の高校生・円華と小春。
移動制限で東京の実家から留学先の長崎へ戻れない輿と、長崎の野球部仲間・武藤。
夢中になっていたサッカーが出来なくなり腐っている東京の中学生・安藤と同級生の中井。
安藤のサッカーの先輩で、大学で宇宙の研究をしている柳。
若者たちをずっとちょうど良い距離感で見守り、導いてく先生たち。
それぞれ状況は違えどコロナ禍の社会の中で塞ぎ込んだ日々の中、
「何も出来ない」ではなく「何なら出来るか」を見つけ夢中になる、
中高生たちのエネルギッシュな青春と厳しい現実が描かれています。
「オンラインで世界をつなぐ」的なことは現代では当然のことですが、
「離れているのにつながっている」の一番身近で大きいものは「空」です。
どれだけ離れた場所にいても、どれだけの数の人がいても、
当たり前に、簡単に、みんなとつながることができます。
その空を舞台に行われるスターキャッチコンテスト。
「手作りの望遠鏡で、いかに指定された星を早く望遠鏡内に『導入』するか」を競う競技です。
東京で中井が安藤を理科部に勧誘する。
安藤がスターキャッチコンテストに興味を持ち茨城の高校に連絡する。
その連絡を受けた亜紗がオンラインスターキャッチコンテストを提案する。
天文部顧問の綿引先生が長崎の天文台館長に声をかけ、円華と武藤を誘う。
(描写はないけど、小春のことも誘ってたのかな?)
移動制限で長崎に戻れない輿のために安藤が柳のいる大学へ連絡する。
それぞれの小さな一歩が閉じていたドアを開き、茨城・東京・長崎の学生たちが繋がる。
熱量が一気に開花していく勢いがすごく、止められないエネルギーを感じました。
あまり話したことのなかった人も、仲違いしてしまった人とも、
はしゃぎ、笑い、話し合い、学び、特訓し、真剣に取り組む。
みんなマスクで顔のほとんどは隠れているのに、その下から笑顔が溢れています。
しかし、走り出した熱量を持った若者たちの眩しさに、
容赦なく落差を突き付けてくる現実があります。
少し形は違うけど煌びやかな青春を突然遮る、
コロナウイルス感染者増大の報せ。
スピーカーからけたたましく鳴る様子は、心が痛くなりますね。
スターキャッチコンテスト当日。
離れた場所にいるはずのみんなが同じことに取り組み、
それぞれが真剣に競技に向き合う。
暗く探すのが難しい星の導入に成功したチーム。
狙っていた星が捕まらず、思うような結果がなかったチーム。
お題の星が分からずあたふたするチーム。
全力で喜ぶ顔も、悔しがりながらも晴れやかな顔も、
ハイタッチ代わりの肘タッチも、星空の下で輝いていました。
見守る大人たちも、仕方ないと諦めるでもなく、すべてを否定するでもなく
「何なら出来るか」という同じ目線で考えてくれていたのがよかったです。
綿引先生のマスクがちょっと小さかったのもかわいかった。
コロナがなければ出会わなかった各地の仲間たちとの最高の夏を過ごすことができた。
その一方で、凛久の家族はコロナによって運命が変わってしまった。そういう現実もある。
終盤、凛久のために「私に何が出来ますか?」とずぶ濡れで訴え、
「これ以上、私たちからもう、なんにも奪わないでほしい」と
難題に挑む亜紗の姿に込み上げるものがありました。
この映画のキャッチフレーズは「最高で、二度と来ないでほしい夏」
見終わった後の余韻がすごい映画です。
あと、「東京は明るくて地上からは星が見えづらいけど、宇宙から見たら東京は明るくて見つけやすい」
という視点の違いの話は面白いなと思いました。
ジャンル:青春
公開: 2025年
監督:山元環
脚本:森野マッシュ
