今回の映画はこちら!!
【いなくなれ、群青】
出演:横浜流星、飯豊まりえ、矢作穂香、松岡広大、松本妃代、中村里帆、
伊藤ゆみ、片山萌美、君沢ユウキ、岩井拳士朗、黒羽麻璃央ほか
以下ネタバレあり
【ざっくりストーリー】
捨てられた人々が集まる島で、無くしたものを探す
【感想】
タイトルも設定もすごく不思議な話です。
・魔女が支配する島に連れてこられた「捨てられた」人々
・島の外には出られないけど衣食住は保証され学校に通える、仕事もできる
・島から出るには無くしたものを見つけないといけない
不思議な点が揃っているのに、主人公の七草や島の人々は
普通に学校に通って普通に生活をしています。
島で生活している人たちは「少し不便な田舎町」程度の認識で、
その町自体がおかしいと感じていないのでしょうか。
「無くしたものを見つけた人」がいつの間にかいなくなっていても
「そういうもの」だと受け入れているようです。
かつて友人だった真辺が島にやってくるところから物語は始まります。
逆に真辺が島に来なければ、物語は始まらず
七草はずっと島でのんびり暮らしていた可能性もあります。
いきなりやって来て「この島はおかしい」「どんな手を使っても島の外に出たい」
「物資輸送船に潜り込んで脱出する」という真辺の言動に周りは唖然とします。
外の世界から見れば真辺の方が正しいかもしれません。
でも周りから浮いていても、煙たがれても、怒られても、
理想を掲げ自分の信じたことを実行する真っすぐすぎる真辺は、
社会の中ではとても生きづらいタイプではいでしょうか。
終盤で、この島の人々の正体は
「人が成長していく中で切り離した(捨てていった)、
欠点となる部分や自身の嫌な部分が魔女によって擬人化されたもの」
と明かされます。
七草も真辺もクラスメイト達も個性豊かで様々な人格の人がいますが、
それらが全部(現実世界の自分によって)捨てられた人格と考えると少し恐ろしいものがありますね。
真辺が島にいる明確な理由は明かされていませんが、
その性格のせいで何かトラブルがあったのか、
大人になって同調することを覚えたのか、色々な理由が考えられます。
七草は島の秘密を知っていて、島の秘密を暴かない代わりに真辺を島の外に出すように魔女と取引をします。
島の秘密を知っているって結構な切り札だと思いますが、
真辺のためにそれを使えるってすごいですね。
ナドに語っていたように、七草にとって真辺はピストルスターなんですね。
(太陽の160万倍の明るさなのに地球から遠すぎで光が届かない)
ざっくりいえば青春群像劇なのでしょうが、
明かされていない謎も多く何度も考察したくなる、
不思議なストーリーです。
ジャンル:青春、ミステリー
監督:柳明菜
脚本:高野水登
受賞:第43回日本アカデミー賞 新人俳優賞